君を好きにならない
第5章 若いな、お前
「お前、そんなこと考えてたのか?(笑)」
「・・はい・・」
田舎から家出同然で都会にやってきて
まぁ・・寂しいよなぁ
孤独で。
なんにも考えないで
ただなんとなく都合よくて
ココに居候してんのかと思ってたよ
「残念ながら
俺には付き合ってるヤツはいねーし
すっげー帰りが遅い日も
仕事やってるだけで
ヤってるわけじゃねー」
「クスッ(笑)
なんだ・・
向井さんモテないんだ」
真琴はそう言いながら
八重歯を見せた
「悪かったな」
「モテそうなのに」
「そうか?」
「お世辞ですけど(笑)」
「あ~せっかく
ケーキでも買ってやろうと思ったけど
やっぱやめとくかな~~」
「あ、いや本当です!
向井さん超かっこいいし
頼りがいあって
ほんっとにモテそうです!」
胡坐をかいてた真琴は
膝立ちになってベッドに手をかけ
必死で俺に訴えた
20歳とは思えねーほど
ガキくせぇ
それなのに
懐に入ってくるのはうまくて・・
「もう遅せーよ(笑)」
「え~~~」
心底悔しそうな顔をする真琴は
そう言いながら
残念そうに腰を下ろした
「しょうがねぇなぁ」
「え?」
「真琴が今日の仕事のノルマ達成したら
買ってやるか」
「ほんとに?!」
「あぁ。
飯、食いにつれてってやってもいいぜ?」
「よっしゃー!」
俺も昔は
こんなことで
こんなに喜んでたのかなぁ・・
20歳のころのことなんて
忘れちまったけど
「じゃあ向井さん!
今日もよろしくお願いします!」
「あ?あ~・・わかったよ」
ごっこな?
ごっこ・・のことだよな?
だよなぁ~・・・