隣は空席のまま…
第6章 一軒家の他人
ホタルの家では――――…夜は私だけが家にいた
ホタルは、カフェの夜を担当していたから気を使うことなく他人の家を自由に使った
昼はカフェ、夜はバーとしてあの場所は私たち二人には無くては成らない生活の1部になっていた
「もう…こんな時間――――…」
求人を見ながら…ふと、時計を見ると深夜を回っていた
電波時計の壁掛け時計は秒針が滑らかに動くタイプでつい、時間を忘れてしまう
前のアパートでは秒針が五月蠅い時計を壁に掛けていたから…
余計にそう思うのかもしれない
カチカチ――――カチカチ――――と、小さな釘を打たれるような…罪悪感の募る時計だったと
リビングを見渡しながら過去を振り替える