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隣は空席のまま…

第7章 ホタルの叔父


今、ホタルが住んでいる一軒家は


小笠原さんが再発する度に降りた保険金で建てたのだと言う――――…最初は、“癌御殿”だと笑っていたそうだが



再発の度に…笑いは少なくなって言ったと言う


小笠原さんは、何社にも保険をかけていた…用心深い人だったのだろうか


いや――――…自分の両親が癌で死んだのをきっかけに…入り出したのだとマスターは小笠原さんから聞いていた…



だからか――――…彼は、人一倍…臆病だったのかもしれないと…マスターは遠い目をした



そして、ホタルの事を…最後まで大切にしていた



ちゃんと、遺言書を残していた



独身の彼は…全ての財産をホタルに残すと一筆書いてちゃんと保管していた



親戚一同…小笠原さんの遺言に反論はなかった



その裏には――――…



厄介なホタルが親戚に迷惑かけずに一人で生きていくだけの金と家があるなら…



それに越したことはない――――…




そう言うことだった




小笠原さんの葬儀は…ひっそりと行われた





そして、葬儀が終わり…




ホタルも両親から縁を切られた




「お前には叔父からもらった金と家があるのだから…2度と帰ってくるな…お前は我が家の子ではない」



そう、言われたそうだ




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