隣は空席のまま…
第1章 嘘つきの魅力
「ほら、子ネズミちゃん!!こっち」
私は、ホタルに進められるまま…
カウンターの席に座る――…
薄暗くて…落ち着く――…
さりげなく聞こえるジャズも……心地良い…
でも――…
ふと…煙草の残り香が――――…
さっきまで…私の体をトロけさせた…彼を思い出させる――…
「…あんた、煙草嫌い?」
私の表情を見たホタルが…ケースから取り出した煙草を…指に挟んだまま私に聞いてくる…
「―――…別に…好きとか…嫌いとかは、無いわ…
でも、香りで――…嫌な事を思い出しただけ――…
気にしないで…」
ホタルは、指に挟んだ煙草と私を見ながら……
フッ――――…と、鼻で笑って…
煙草に火を点けた…