隣は空席のまま…
第1章 嘘つきの魅力
「――――…大変…よ…
どんなに…こっちの世界が理解されてきたからって…
いざ…自分が“恋愛対象”となったら…逃げるのよ…
音信不通なら…まだ…いい方…
……陰口、悪口、誹謗中傷の的となるのが関の山…
何人も…そんな仲間を見てきたし…私だって………ね…」
ホタルは、カクテルを飲み干すと…マスターに空になったグラスを戻した…
「ごめん――…///私…」
「///やめて~!慰めとか…!
男が男を好きになるのは“犯罪”じゃないからね!」
ズキンと突き刺さる毒舌に…
悔しくなる――――…
「自然の成り立ちに反してる…
種の繁栄に逆らってるわよ…貴方は…」
お代わりのカクテルを手にしたホタルは、驚いた顔を一瞬したが……楽しそうに笑って…「言うじゃない!」と、
私の飲みかけのグラスにグラスを合わせ…
勝手に乾杯した――――…
チンッ―…
と、軽いグラスの音が狭い店に響く……