隣は空席のまま…
第10章 壁の大きさ小さ
「あ――――…最初の子…
流産してしまったんです…
安定期に入る前に…成長が止まって――――…」
その人は、お腹を撫でながら少し悲しい目をした
「――――ごめんなさい…思い出しちゃいましたか?」
私は、聞いてはいけないことを聞いたかも?!と、焦り頭を下げた
「いいんです……私…いろんな事に無知過ぎたんです…
自分の体の事――――…知らなくて…」
話を続ける彼女に――――…私たちは寄り添うように…聞くことにした
「――――…私の体…妊娠に不向きだったって――――…流産したときに解りました…
名前まで着けて…主人と喜んだのに…亡くしてから気がつく大きな後悔です」
「そんな――――…」
「それからは、自分の体を調べて知って…対策を建てた……
今で言う…妊活ですね――――…で、この子を授かって…
でも、不安で――――…今回は名前とか着けてあげられなかった…可愛いのに…
この子を失う怖さが勝ってしまって――――…」
ホタルが私の肩をそっと抱き寄せた…
泣きそうな顔をしているのは…見ないフリをしてあげよう…
「――――…頑張っているんですね…今も…貴女は…」
ホタルはそんな彼女に…微笑んだ
「ええ、頑張っている途中です…」