隣は空席のまま…
第13章 小さな壁とハードル
素朴な家庭――――…
実に羨ましい
「こんな…家庭を作りたい…」
何気なく呟いた言葉に――――…彩芽が目を細めた…
「――――うん…ありがとう」
テーブルの下で私の手をポンと叩くその仕草に…胸がキュンキュンする
「そう言えば…“ホタル”さんって――――珍しいお名前ね?」
「あ!ごめんなさい…
本名は“螢”と書いて“けい”と読むんです!――――…
“ホタル”って…あだ名みたいなもので…実際…そっちの方が…俺には合っていて…“ホタル”って呼ばれるのが…好きなんで」
「――――あら、そうなの?面白いわね」
「お父様とお母様は…どちらでも呼びやすい方で呼んでください!」
彩芽は少しヒヤヒヤした顔をしていかが…私がウィンクすると「もぅ」と、笑ってくれた