隣は空席のまま…
第5章 敗北者に優しくない世界
「その声――――…ホタル?」
私は、目の前のやけにきれいな男性を穴の空くくらい見つめてしまった…
「なによ、その顔――――…相変わらず不細工ね」
紛れもない…ホタルそのもの…
「――――――やだ…笑えない…」
「笑いなさいよ」
ホタルは、私の横に並び――――…「ほら」っと、腕を掴む……
「で、家はどっち?一応…送ってあげるから…後は、部屋で好きなだけ泣きなさい」
好きなだけ泣く……?
もう、涙なんか出ない
不安や後悔しか私からは出てこないと思う…
「――――ホタルは…何で男の格好してるの?ち
調子が狂うわ」
私は、腕を引かれたまま…ホタルに着いていく