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知らない世界

第17章 寂しい夜

学校帰り、かずの組の車を見かけると、ついつい目がいってしまう。


「翔さん・・・今日は乗ってないな」

「かずんとこ、まだバタバタしてるのかな?」

「う~ん、たぶん。詳しくはわからないけど」

「何かさ、初めはこいつとだけは友達になりたくないなんて思ってたけど、今では学校以外では会えないなんて、ちょっと寂しいかも」

「ようやくできた友達と、家の都合でまた遊べなくなるなんて、あいつはもっと寂しいかもな」

「何だろう、かずには悪いけど、俺は一般家庭の息子で良かったって思うよ」

「あぁ、本当そうだな」


俺達はかずか遊べなくなったことを、心のそこから寂しく思った。


「はぁ・・・」


俺はそれ以上に、翔さんに会えないことを寂しく思っている。

用心のために、組の人達がうちの店に立ち寄らなくなっているなか、大野さんはちょいちょい店に来る。
気になりながらも、俺は一切組の事にはふれなかった。


「いらっしゃい・・・あっ、大野さん」


カウンターの隅に座った。
今日はお客もまばら、ビールを運んだついでに、俺は大野さんの隣に座った。
お袋は他のお客と話し込んでいた。


「大野さん、店に来てもらえるのはうれしいですけど、来てていいんですか?」

「・・・えっ?」

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