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知らない世界

第18章 会いたくて

「大野・・・さん?」


俺は何を期待してたんだ。
俺に嘘をついて女を呼び出すくらいだから、わざわざ俺んとこに来るわけないだろ。


「しばらく休みって、お袋さん体調でも悪いのか?」

「いえ、友達と旅行に行ったんで」

「何だそうか・・・
しばらくお袋さんの料理、食べられないのか」

「よかったら飲んでいきます?
ちょっとした物なら俺作れるので」

「いいのか?
じゃあ、ちょっとお邪魔しようかな?」


大野さんを店に入れ、鍵をかけた。
ビールとグラスを用意した。


「おっ、ありがとう」


冷蔵庫からある物で、つまみを作った。


「お前の料理する姿、初めて見るよ。
普段からよくやるのか?」


翔さんの顔が思い浮かんだ。
マンションに行くときは、よくつまみを作ったりしている。


「いいえ、しませんよ」

「そうなのか?」


2、3品つまみを作り、カウンターに出した。


「ありがとう。ちゃんと金取れよ」

「俺が誘ったんですから、金はいりません」


冷蔵庫からジュースを出し、大野さんのとなりに座りグラスも使わず飲んだ。
ただただずっと黙って、店の中は時計の針の音だけが聞こえる。






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