テキストサイズ

知らない世界

第18章 会いたくて

何だよ何だよ、女なんか呼び出して。
俺とキスしてから呼んでないって言ってたじゃねぇか。
なのに何だよ!
今日だけでなく、あの日も・・・
わざわざ俺を呼び出さなくたって、あの女呼び出して、いいことしてたんだろ!


「しばらく会わない方が・・・」


俺の事を心配してるような事言って、結局は飽きたんだろ?
遠回しに言わなくても、飽きたなら飽きたって、男の俺なんかよりあの女の方がいいならいいって言えばいいのに。


「会いたくて仕方なかったのは俺だけ。
何か、バカみたい」


寂しさと悲しさと腹立たしさで一杯。
ボーッとしながら歩いている。  
前もまともに見ていない俺は、すれ違う人と何度もぶつかる。


「いてぇな・・・
ぶつかっておいて黙りかよオイッ!」

「はぁ?何だよコラァ!」


振り返りにらみをきかせる。


「!?・・・きっ、気を付けろよ」


昔の俺が、顔をのぞかせる。
辺りは薄暗くなっていき、行く宛のない俺は家に帰った。
店は休みなのに、前に車が1台停まっている。


「あっ!」


何を期待しているのか、車に駆け寄った。


「翔・・・?」

「おぉ、潤」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ