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知らない世界

第22章 解放

男は部屋を出ていった。
知らないうちに流していた涙を拭った。


「翔さんに会ったら俺、何て言ったら、どう謝ったらいいんだろう」


そのままゴロンと床に転がり目を閉じた。
気を失ったのか眠ったのか、隣の部屋の騒がしさで目を開けた。


「テメェ、今まで何してやがった!」

「二宮のところに捕まってたんですが、逃げて来ました。もちろん口はわってません」

「付けられてないだろうな?」

「大丈夫です」


そんな会話が聞こえてきた。
それからしばらくすると、隣の部屋がまた騒がしくなった。


「おいっ!潤はどこにいる!」


まだ頭がボーッとしているのかな?
翔さんの声が聞こえる。


「幻聴がきこえる。もう駄目かも」


そんなことを考えていると、部屋のドアが勢いよく開いた。
二人の男が近付き、転がっている俺を抱え、隣の部屋に連れていった。


「潤!」

「ひでぇことしやがって!」

「翔・・・さん、大・・・野さん・・・ごめん」


俺の目の前には二人が立っていた。


「もういいよ、潤。
でもお前、ここまでされるほど、どれだけ暴れたんだ?」

「暴れ足りないくらいだよ」

「それだけボコボコにされて、よく言うよ」

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