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知らない世界

第4章 仲直り

あれからあいつ、二宮は今までの事が嘘のようにおとなしい。
誰かに声をかけるでもなく、ましてや金をまきあげるなんてことは、一切してない。
今までが今までだから、何だかおとなしい二宮が気味が悪い。
あの人が注意したのが、こたえてるんだろうか。

あいつは学校では、いつも1人。
昼休みも教室にいない。
ドラマなんかでよく見る、校舎の屋上にでも行ってるんだろう。
今までのおこないが悪かったから、口をきいてもらえるわけもない。
俺もあんな思いをして、話しかける気にもなれない。


「自業自得ってやつだよ・・・!!」


そんなこと考えていると、頭にあの人の顔が思い浮かんだ。


「服・・・いつ返しに行こう」


俺は毎日毎日、あの人に借りた服を持ち歩いている。
あいつに会うのが嫌で、近くまでは行っても引き返すの繰り返し。


「あの人が言った通り、貰ってしまおうか。
でも返しに・・・いや待てよ。
俺は何でこんなにもこだわってる?
会ってお礼を言いたいだけ・・・?
会って?・・・お礼?
会う・・・会いに行く・・・会いたい?
いやいや違う違う、何考えてるんだ俺」


服が入った手さげ袋を見つめた。


「やっぱり、返しに行こ」

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