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知らない世界

第29章 見えない恐怖

なかなか寝付かれず、結局朝までベッドの中でゴロゴロしながら起きていた。


「さぁ、行くか」


覚悟を決めたかのように玄関を出た。
いつものように駅に向かった。
でも昨日のように、一番前に並ぶようなことはしないで、人混みに紛れていた。


「紛れていれば昨日みたいなことはないな」


何て思っていると、足元にドサッと何かが落ちた?


「んっ?」


下を向くと落ちたのは俺のカバンに入っているべき物。


「あれっ・・・どうして落ちたんだ?」


拾おうと手を伸ばすと、さらにドサッと落ちてきた。


「えっ、えっ・・・何で・・・いつの間に?」


この人混みの中、誰にも気付かれず、俺のカバンが切り裂かれた。
青信号でたくさんの人が通りすぎていく中、落ちたものを拾った。


「何だよ・・・何なんだよ」


全部拾い上げ、何だか怖くなってアパートへ引き返した。


「“み~つけた”ってどういう意味?
誰だよ・・・俺、恨まれるようなことしたか?」


切り裂かれたカバンをテーブルに置き、ベッドにドサッと転がった。


「仕事・・・忙しいかな」


カバンと一緒に置いた携帯を見つめた。


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