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知らない世界

第35章 盃

コーヒーの匂いに誘われてキッチンへ行くと、新聞を読みながらコーヒーを飲む翔さんがいた。


「おぉ、起きたか」

「あっ、おはよう翔さん」

「コーヒー飲むか?」

「うん・・・自分でやるよ」


カップを出してコーヒーをいれた。
翔さんはいつものさらしを巻いた、上半身裸。
でもこのさらしが今は包帯に見えてしまう。
椅子に座り、コーヒーを一口飲んだ。
しばらく沈黙が続いた。


「潤、話がしたかったんじゃないのか?」

「うん・・・えっと・・・あの・・・
あっ、傷の具合はどう?」

「良くなってきてるよ。
まぁ外に出るときは、誰か支えになってもらわないといけないけどな」

「そう・・・」

「なんだ、そんなこと聞きたかったのか?
それだったら電話でも出来ただろ?」

「来ちゃいけなかったのか?」

「そんなことは言ってない。
もしもお前に・・・!!」

「俺に何?何なんだよ」


コーヒーを飲み、黙る翔さん。


「なぁ翔さん、何だよ・・・言ってみろよ」


詰め寄る俺。
カップをテーブルに置き、俺をじっと見つめた。


「なっ!何だよ・・・」

「お前さぁ、自分の店持つのが夢だって言ってたよな」

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