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知らない世界

第35章 盃

「俺達の関係を望まないやつもいるかもしれないけど、とりあえずこいつのこと、これからよろしく頼むな」

「はいっ!」


そこにいるみんなは返事をしてくれた。
誰か若い人が小さな声で、大野さんに何か聞いていた。


「兄貴、櫻井の兄貴の相手が女だったら“姐さん”
ですけど、これの場合は何て呼んだら・・・」

「そうだな・・・
別に今まで通り、“潤”でいいんじゃねぇか?」

「でも若頭の相手ですし」

「今まで通り、潤でいいですよ。
何も変わってない、皆さんが言ってくれる“弟”感覚でいてください」


みんなで笑っていると、かずは立ち上がり、うつむいたまま、自分の部屋へ行った。
俺は追いかけた。


「かず、入るよ」


部屋に入ると、かずはベッドにうつ伏せていた。


「あの・・・かず?」

「なぁ潤、いつから?」

「えっ?」

「いつからなんだよ」

「え~と・・・
修学旅行の少し前・・・くらいかな?」

「じゃあ俺があのとき、俺が告ったときはもうすでに・・・」

「そう言うことに・・・なるかな」

「そう・・・なんだ・・・」


そう言うと、また黙った。
俺も何も言えず、ベッドの足元に座っていた。

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