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知らない世界

第38章 領域

「どうした大野」

「いやぁ、潤からかかってきたんですけど、何も言わないんですよ・・・もしもし?」


俺は自分の携帯を見てみた。


「あっ、俺にもかかってきたんだ。
大野、潤は出たか?」

「いや、そのままつながったままです。
一旦きります」


何か気になる。
店に電話してみることにした。


『もしもし、櫻井だけど』

『もしもし、お疲れ様です。
潤ならもう帰りましたけど、どうかされましたか?』

『いつ頃店を出た?』

『そうですね、15分・・・くらいですか』

『俺にかけてきたのがそれくらいだな・・・』

『潤に何かあったんですか?』

『電話かけてきて、俺が出なかったから大野にかけてきたけど、つながったまま無言なんだ』

『兄貴、駐車場まで見てきます。
後でかけ直します』

『悪い、頼むぞ』


何だか胸騒ぎがする。
帰ってくれば俺に会えるのに、なぜわざわざ電話をかけてきた?
俺がつながらなくて、すぐに大野にかけてきたのはなぜだ?
何か急ぎの用があったからじゃないのか?
すぐに電話がかかってきた。


『もしもし、どうした?』

『兄貴、潤が・・・』

『潤がどうした?』

『車のドアが開いたまま、いなくなってるんです』

『何だって?』

『カバンも置いたまま、携帯は車の足元に落ちてました。
潤に何かあったのかも』

『すまないが、少しその辺り探してみてくれないか?』

『わかりました。またかけます』

「兄貴、潤は?」

「車にカバンも携帯も残していなくなった」

「兄貴、もしかして俺達に何か伝えようとしたとき、誰かに拐われたのかも」

「今、近辺を探してもらってる。
あっ、まさかあいつ・・・」

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