テキストサイズ

知らない世界

第38章 領域

そしてさらに数日後、バイトが終わり店を出ると電話がなった。
神崎さんだ。


『もしもし、神崎さん』

『もしもし潤か?』


何だか慌てた様子だった。


『どうしたの、こんな時間に』

『組の誰かを拐いに行くとか、連中が行っていた。
誰の事か聞こえなかったけど、若の事かもしれない』

『神崎さん、いつなの?』

『そこまではわからない。
すまん、もう切らないと・・・』

『もしもし、神崎さん・・・』

『頼む潤、兄貴達にに伝えてくれ』


そう言って電話がきれた。
連中の目を盗んでかけてきてくれた神崎さん。


「帰ってからよりすぐに伝えた方がいいよな」


駐車場に着き、車に乗り込み携帯を出した。


「翔さん何してんの?早く出てよ」


こんな時間でも忙しいのか、全然出ない。


「も~・・・大野さんにかけてみよ。
・・・んっ?」


大野さんにかけようとすると、車の前に人の気配を感じ、顔を上げた。


「潤君」

「はい・・・あっ」


そこに立っていたのは、あの目付きの悪い連中だった。


「バイト終わったのか?」

「こんばんは。終わって帰るところです。
どうか・・・しました?」

「う~ん・・・
俺達にちょっと付き合ってくれるかな」

「どこへ行くんですか?」

「どこでもいいだろ!」

「うわぁっ!」


車から引きずり出され、近くにあった車に押し込まれた。
自分の車には携帯もカバンも置いたまま。


「放せコノヤロー!
どこへ連れて行く気なんだよ。
答えやがれっ!」

「相変わらず威勢がいいね」

「誰だ!・・・あんたは・・・」


置き去りした携帯はつながっていた。


『もしもし潤・・・潤・・・潤?
もしもし・・・もしもし・・・どうした潤』








ストーリーメニュー

TOPTOPへ