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知らない世界

第38章 領域

今回は両サイドに挟まれているだけ。
今は押さえつけられてはいない。


「ふぅ~・・・」


俺は大きく息を吐いた。


「どうしたんだ?・・・う"ぅぅぅ」


俺の顔を覗き込もうとしたとき、拳を握り、思い切り腹を殴った。


「テメェ・・・あ"っっっ・・・」


向きを変え、もう一人の腹も殴った。


「このクソガキ・・・うわぁっ!」


名張の若頭も後ろから殴り、運転手も後ろから首を絞めた。
ハンドル操作を誤り、ガードレールに車をぶつけた。


「待て・・・コノヤロー」


俺は車から降りて逃げた。


「翔さんに連絡しなきゃ」


探しても探しても公衆電話が見つからない。


「クッソ・・・見つからねぇよ」


公衆電話を探してさまよっていると、1発の銃声が聞こえ、同時に左足に痛みが走った。


「あぁっっっっ・・・」

「ったくこのガキは、手間とらせやがって。
マジでカタギにしておくのはもったいねぇな。
さすが若頭のものだな」

「誉めていただいて・・・光栄だよ」

「たいした野郎だな。おいっ、連れて行け」


あのときのようにミスってしまった。
タクシーを止め、脅してこいつらの予定通りの倉庫へ向かった。







『もしもし兄貴、潤が何者かに拐われたみたいです』

『誰が潤を・・・』

『わかりませんが、近くの店の店長が知らせに来てくれて、暗くて分かりにくいけど、目付きの悪い二人組だったそうです。
うちに最近来はじめた客かと思うんですが』

『名前はわかるか?』

『名前までは・・・でも潤のことを知ってる感じでした』

『もしかしたら、名張の連中かも・・・
わかった、すまなかったな』

『兄貴、俺に出来ることがあったらいつでも言って下さい』

『ありがとう』


潤、無事でいろよ。

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