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知らない世界

第38章 領域

「えっ!?・・・うわぁ!」


銃声が聞こえたあと、背中に何かがぶつかった。


「何?どうした?・・・えっ、神崎さん?」


腹を刺され倒れ込んでいたはずの神崎さんが、俺達の背中に倒れ込んできた。


「神崎さん・・・神崎さん」

「神崎!おい神崎、しっかりしろ!」

「兄貴・・・ケガ・・・ないですか?」

「俺は大丈夫だ」

「潤は?」

「潤もお前がかばってくれたから大丈夫だ」

「よかっ・・・た」


今の銃声、離れたところから俺達を狙っているのに気が付いた神崎さんが、盾になってくれた。


「兄貴、すみません。俺何も役にたてなかった」

「俺達をまもってくれてじゃねぇか。
約束守ってくれたじゃねぇか」

「でも、潤にケガさせちゃって・・・
すまなかったな、潤」

「神崎さん、しっかりして。
すぐに病院連れて行ってあげるから・・・ねっ」


若い人に抱えられ車に乗り込んだ。


「潤・・・」

「何ですか?」

「ごめん、お前の事・・・好きだよ」


見送っているとまた銃声がなった。


「う゛ぅぅぅ」


今度は俺達をかばってくれた大将が腕を撃たれた。


「大将!」


大将の姿を見て、また俺の中の何かがプツンと切れた。
近くで倒れ込んでいる男からドスを取り上げ、チャカを持つ名張の若頭に向かって走っていった。


「あのバカ・・・潤、やめろっ・・・!」


ドスを持つ俺にビビったのか、弾がなくなるまで撃ち続けた。
弾がなくなったチャカを投げ捨て、逃げようとしたところを捕まえた。


「テメェ、絶対に許さねぇ・・・
絶対に絶対に、テメェだけは・・・」


ドスを振り上げた腕を後ろから捕まれた。


「潤、もういい。
これ以上、お前はしたら駄目だ。
ここからは、俺達の領域だ」

「翔さん・・・」


俺はそのまま気を失った。
目を覚ましたのは、次の日の朝だった。

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