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知らない世界

第39章 終息

「目が覚めたか?」

「翔さん?
俺・・・どうしてここにいるの?」

「昨日の事、覚えていないのか?」

「あまり覚えてない。
連中に拐われて、足撃たれて・・・」

「覚えてないならそれでいい」

「・・・あっ、神崎さんは?」

「神・・・崎?」

「うん・・・
そう言えば、神崎さんが逃がしてくれだんだ。
逃がしてくれて、それでえ~と・・・」

「もういい、無理するな。
先生呼んで来る。腹減ってないか?」

「えっ、うんちょっと減ってる」

「飯ももらってくる」

「ありがとう」


神崎さんが逃がしてくれてたんだよ。
それからどうなったんだろ。
思い出せないよ。
翔さんが車からおりてきたところは、何となく覚えてるんだけど。


「坊主、気が付いたか」


先生と翔さんが入ってきた。


「先生・・・ありがとうございました」

「心配してたことが起きたな。
まぁ、足を撃たれただけですんでよかったよ」

「すみません。
あのぉ先生、昼から帰っていいですか?」

「バカ潤、お前何いってるんだ?」

「みんなに迷惑かけて、俺だけのんびり病院のベッドに寝てられないよ」

「でもそんな足じゃ・・・」

「おい若頭、お前が一番こいつの事知ってだろ?
止めても無駄だよ・・・なっ、坊主」

「翔さんが駄目って言っても、俺帰るから」

「ったくお前は・・・」

「こいつはお前達より、筋通ってるかもな」

「かたぎのくせして・・・」

「俺もう・・・かたぎじゃないよ」

「潤・・・」


そう、もう俺はかたぎじゃない。
でもそれが悲しいわけじゃない。
ただそれで組に迷惑をかけてるんだったらって考えたら、ちょっと辛い。


「食事、用意できました」


朝食が運ばれてきた。

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