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「神崎はここだ」


連れてこられたのはICUだった。


「神崎・・・さん？
先生、神崎さん助かりますよね」

「わからねぇ。やれることはやったよ。
撃たれたのは肩だけど、ただ結構深く刺されていたからな・・・
今日がとうげってとこだな」

「先生、助かりますよね？助かりますよね？」

「あいつの気力次第だ」

「俺のせいだ・・・俺のせいで・・・」


全身の力が抜けた。


「俺を守ったせいで、神崎さんは・・・」

「坊主、部屋に戻るぞ」


後から付いてきた若い人が、車椅子を押してくれた。
部屋に戻り車椅子から降りて、ベッドに座った。


「お前のせいなんかじゃないよ。
これがこいつらの、若頭が言う領域ってやつだよ」

「俺達下の者が上の者を守る。
それが俺達の世界」

「兄貴達や若、もちろんお前のためなら俺達は進んで盾になるよ」

「もし俺達がそこにいたら、神崎さんと同じ事してたと思う」

「もうお前はこいつらにとって、組長や若頭、２代目と同じ存在になっているって事だよ」

「ありがとう・・・ございます」

「さぁ潤、帰る支度するか？」

「あの、すみません、神崎さんの事が心配なんでもう一日病院にいてもいいですか？」

「俺達はいいけど」

「本当は１週間くらいは入院してもわないといけなかったから、お前が納得するまでいていいぞ」

「ありがとうございます。
わざわざ来ていただいたのに、すみません」

「いいってことよ。
じゃあ退院するときになったら、いつでも連絡してこい。兄貴にでもいいし、俺に直接かけてくれてもいいぞ」

「わかりました」

「じゃあ、またな」


若い人は帰っていった。

守るべき存在・・・か。