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知らない世界

第40章 2代目

神崎さんは驚くほど回復が早く、1ヶ月くらいで退院した。


「神崎さん、おめでとうございます。
本当に助かってよかった。俺うれしいです」

「ありがとう、潤。
あのときもう終わったって思った。
てか兄貴やお前を守るために、終わらせるつもりだった。
でもこうしてもう一度、みんなの元に帰れるなんて、本当に嬉しいよ」

「神崎さんにもしもの事があったら、悔やみきれないですよ、俺」

「俺は1つだけ悔やまれることがあるんだよ」

「なんですか?」

「あのとき俺は、兄貴がいるのにもかかわらず、
お前の事が好きだって言って、命が助かったのは嬉しいけど、兄貴に正直会わす顔がねぇよ」

「そんなこと翔さん何とも思ってないですって。
俺はみんなにそんな事言ってもらえて、申し訳ないくらい嬉しいですよ」

「お前のそう言うところが、兄貴や組の者に好かれるんだよ」

「自分では何もわかりません。
いつも通り、俺は俺でいるだけです。
さぁ、帰りましょう。
翔さんに家まで送るように言われてるんで」

「悪いけど、組に行ってくれないか。
兄貴達に挨拶しに行かないと・・・」

「明日でもいいじゃないですか。
翔さんが今日は家でゆっくりしろって言ってましたよ。
翔さんに神崎さんが気にしてたって伝えておきますよ」

「ありがとう。そうさせてもらうよ」

「申し訳ないですけど、神崎さんを送ったら俺、すぐバイト行くんで・・・
神崎さんが言ってたきんぴらごぼう持ってきたんで、食べてください。
味は保証できませんけど」

「ありがとう」


それから数週間後、会社で言うところの会議が組であるらしい。
出席はしないものの、俺も組に来るようにと言われている。
そこにはかずも出席するらしい。


「いよいよかず、2代目に就任か?
ヤ○ザで就任っておかしいか?」

 



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