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知らない世界

第8章 打ち上げの日に

「送っていただいて、ありがとうございました」

「いいってことよ。また遊びに来いよ」


部屋に戻ると絶妙なタイミングで電話がなった。


『もっ、もしもし・・・』

『潤、もう家か?』

『はい、今着きました』

『そっか・・・今日はありがとう』

『いえ、俺は何もしてないですよ』

『・・・』

『・・・何・・・か?』

『・・・』

『もしもし?・・・櫻井さん?』

『潤、あのさぁ・・・』

『はい、何ですか?』

『あの・・・』

『言いたいことがあったら、はっきり言ってください』

『いやっ・・・声が聞きたかったんだ。
それだけ・・・じゃあ』

『待って櫻井さん、俺・・・』


ガチャッ!


「何だよ、一方的に切っちゃって」


声が聞きたかっただけなの?
何か俺に言いたかったんじゃないの?
だからかけてきたんじゃないの?


「クソー、かけ直してやろ・・・?」


着歴を出したけど、ダイヤルできなかった。


「何してるんだ俺・・・」


折り返しかけてどうするの?
あの人に何を聞くつもりだったの?
ベッド携帯を投げ、うつ伏せに寝転んだ。


「俺、あの人に何を言おうとしたんだろう」
















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