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カラダからはじまった愛は~もうひとつのキセキ~

第1章 転勤

黄色の付箋紙に自分の個人携帯番号を書いていた。いま渡して置きたかった。瑠衣さんとつながりたかった。

結婚しているのもわかっていた。でも、いまはそんな事はどうでもよかった。ただただ、瑠衣さんに、今の自分の気持ちを伝えたかった。

1階の受付近くに行く用事をつくって、受付の背面の収納棚にカタログを置きに向かった。

瑠衣さんが受付で、一人しかいない状況を確認した。話が長くできるように、カタログを適当に整理整頓し始めた。

  フロアは瑠衣さんとふたりだけだった

胸の鼓動は、最高潮に達していて、激しく大きいかった。

カタログを整理しているふりをして、あくまでも自然に話しかけた。

  「癒やしだから、って言われて
    ずっとキュンキュンしてた」

素直な今の状況を伝えた。

これが今の自分には、精一杯の言葉だった。

あたまで考えても整理がつかない、こころで感じて出した言葉だった。

  こころの中では『私も好きです。』

と言った気持ちだった。

 「えっ!あっ!あのっ!
  いままで聞いたことなかったんですけど、
  結婚してるんですか!」

瑠衣さんが、こちらの気持ちが伝わったかのように動揺して、返してくれた。

いつもより、緊張した声だった。

 「してないです。あっ、以前はしてたけど」

「お子さんは?
10才の女の子ですか〜、だんだん難しくなってきますね」

瑠衣さん、その場の緊張感をやわらげてくれるように話してくれた。

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