『夜空は百合の花を狂気的に愛す』第1章「ブドウ」　21ページ

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夜空は百合の花を狂気的に愛す

第1章ブドウ

「なんで、こんなこと…」

ぐったりとしながらそう呟いた私を後ろで支えながら、夜くんはあれ？と不思議そうに笑った。

「ユリさん、義母さん達に聞いてない？俺と空、前は海外に住んでたんだよ。親父の出張で。だから今のも挨拶みたいなモンだよ」

「あ、挨拶…？」

まだ夜くんのは分かるとして…今の空くんのも挨拶だって言うの…？

そんな私の考えることが分かったのか申し訳なさそうに言う夜くん

「ごめんね、空って人との距離の取り方がわからないんだ。」

「ユリ…ごめん、嫌、だったよね…」

夜くんに続いて悲しそうに謝る空くんを見てまるで私が悪いことをした気分になる。

なんだかこっちも申し訳なくなってしまった。

「ううん、こっちこそごめんなさい。海外に住んでいたことを知らなくて…」

そう言うと2人はパッと明るい顔になった。