夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
そんな私にお構い無しに夜くんが胸に触れながら、私の鎖骨や胸、お腹にキスを落とす。
時たまチクリと甘い痛みが走る。
この行為が何なのか、私にはよくわからない。
けど、絶対におかしいってことだけはわかる。間違ってもこれは姉弟ですることじゃ、ない!
「…ふ…っや、めて…」
しどろもどろになりながらもやめてと何度も訴える。その言葉は空くんの唇によって消えていく。
前は止めてくれた夜くんも夢中になって私の体に舌を這わせていた。
段々と身体が熱くて何かが上がってくる感じがする。
それが恐ろしくて堪らなかった。
終わることのない行為に私はついに本格的に泣き出してしまった。
それに気付いた空くんが糸をひきながら唇を離す。夜くんもぴたりと止まってこちらを見ていた。
「…ユリ、泣いてるの?」
「…ヒック…ぅ…な、で…こんなこと…」
「ああ、ユリさん。ごめんなさい。俺たち泣かせたい訳じゃないんだ」
申し訳なさそうに眉を下げる夜くんと空くんの目の奥は罪悪感なんて塵も感じなかった。むしろ熱い何かがあった。