夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
2人が私から手を離してキャミソールを直してもまだ泣き止まない私を両側から包み込むように抱かれた。
ポンポンとあやすように背中を優しく叩かれて意味がわからない気持ちになる。
さっきのは、何だったの?私、何をされていたの?
私の思考を読み取ったかのように夜くんが喋る。
「ごめんなさい、ユリさん。あれは俺たちなりの仲良くなる行為だったんだ」
「…っキスだって…したじゃない…!」
あの深い深いキスを外国での挨拶なんてもう言わせないわ…!
「…そうだね。ユリさん。俺達ね、小さい頃に母親に捨てられたんだ。」
「え?」
いきなりの展開に涙がひっこむ。
夜くんは悲しそうに私を見つめていた。
「俺たちの母親はね、俺たちのことが大嫌いで顔を会わせるたびに産まなきゃよかった、いらない子って言われてたんだ」
「…酷い」
「だから、かな。俺達、母親の…女の人の愛情がどんなものかわからないんだ。それを求めて女の人で遊ぶこともあった。けどそんなことしても俺達の心は満たされなかった」
まさか2人にそんな過去があったなんて…
私は何も知らないんだわ