夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
ひーくんは辺りをキョロキョロ見回す。
「今日愛子と2人で来たのか?」
「ええ、あと夜くんと空くんもいるわ。バスケの試合が見たくてついてきたの。相当バスケ好きみたいね」
そうかと何か考える素振りをするひーくん。
双子がいたら何か、あるのかしら?
不思議に思ったけど今はそれよりもひーくんの試合だ。
私は未だ何か考えているひーくんの顔を両手で包んだ。ギョッと何事かとひーくんが私を見つめる。
「ひーくん、今日絶対勝ってよね。私、知っているんだから。今日がキャプテンに選ばれることを視野にいれた試合だって。」
「ユリ…」
だからいつもよりひーくんは緊張しているし、試合前に汗をかくほど練習していたんだ。
「ひーくんが今までたくさんたくさん頑張ってきたの知ってるわ。毎日毎日寝る間も惜しんでどんな時でも練習してた。だから絶対勝てる。昔から一緒にいたひーくんの1番の応援者が言うんだから絶対よ」
「…っ…ありがとう」
うっすらと涙を滲ませながら私に笑うひーくんは格好良い。