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夜空は百合の花を狂気的に愛す

第4章 ハボタン







「…リ…ユリ…!ユリってば!!!」

「わ!愛子、何?」

ぼうっとしているといきなり目の前に眉を釣りあげた愛子の顔が現れてびっくりする。

「何じゃないわよ!さっきからずっと呼んでるのにぼーとしてるんだもん。今日ユリずっと心ここに在らずって感じだし、変だよ」

「そ、そう…?ごめん」

愛子の言う通りだ。

今日ずっと私は昨日あったことを思い出している。

あれって絶対に姉弟でやることでは、ないわよね…

けど朝起きて2人に会えば、何事もなかったかのようにしていたから一瞬夢かとも思った。

でも私の身体が覚えている。昨日のことを…

「まあいいけど!ユリ今日委員会の集まりあるって言ってなかった?もう放課後だけど行かなくていいの?」

「え?…あ!本当だわ!!ごめん、愛子私行くわね」

「頑張ってーばいばーい!」

愛子に手を振られながら、教室を飛び出す。

危ない、危ない、昨日のこと考えすぎて委員会のことすっかり忘れてたわ!

走って委員会の集まる場所に行けば、ギリギリ間に合ったようだった。

ほっと息をついて適当に空いている席につく。

今日は委員会があるから双子には一緒に帰れないって言ったけど…家帰ったら顔を合わせることには変わりない。

ああもう、どんな顔して会えばいいのよ…!


「東雲さん、隣いい?」


いきなり話しかけてきたのは牧くんだった。

牧くんはバスケ部でひーくんと1番仲良い男の子で私もひーくんを介して知り合ったのだ。

「ええ、どうぞ」

「ありがとう。」

ニコと笑う牧くんはひーくんに負けないくらい爽やかだ。

「…あのさ、東雲さん、陽向と話した?」

「え?話していないけど…」

なんだか気まずそうに私に聞く牧くん。

今日学校に来れば驚いたことにひーくんは欠席だった。体調不良らしく、お見舞いに行こうか?とメッセを送ったら、大丈夫とだけ返ってきた。

ひーくんが風邪なんて珍しいけど…

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