夜空は百合の花を狂気的に愛す
第4章 ハボタン
「ん…やああ!!」
「ふふっユリさん、もうこれでイくの9回目だよ?…って気失っちゃった?」
「…そうみたい。」
私の身体から空くんが離れる。
厳密にいうと意識はまだある。ただもうイき疲れて身体や目に力が入らない。
それに本当にもうすぐ意識はなくなってしまいそうだ。
「ねえ…空、もうすぐだよ」
「うん。わかってる」
「もうすぐで完全に俺達のモノだ。」
「その為にも邪魔者は早く消さないと、ね」
何の、話…?
彼らの聞いたことがない声や会話にぞくりと震える。
私、聞いてはいけないことを聞いてしまったんじゃ…
「あれ?ユリ震えてる。寒いのかな?」
目敏く私の変化に気付く夜くんに心臓がドキドキする。
起きてるって気付かれたらまずい気がする、と私の中で警報が鳴る。
お願い、気づかないで…!
すると、私の身体を夜くんが抱き上げてちゃんとベッドに寝かすと上から布団を掛けてくれた。
どうやら気付いてはいないようだった。
「ユリさん、今日はよく頑張ったね」
そう言って額に口付けをされた。
その時にふわりとフルーティな匂いが香った。
あれ…この匂い、どこかで嗅いだことがある。誰かの匂い…?誰だった、かしら?
《あたし、汗っかきだから匂いにはめっちゃ気をつけてんだよね!》
ああ、そうだ、この匂いは愛子の匂いーーー。
そこで私の意識は途切れた。