夜空は百合の花を狂気的に愛す
第5章 ラベンダー
「ユリさん、そろそろ学校行こう」
「ええ、そうね」
行ってきますと言って3人で家を出る。
他愛もない会話をしながら、3人で仲良く登校する。
昨日あんなことをしたのに2人はいつも平然としている。だから私も気にしないように笑って喋る。
内心、本当は聞きたいことが山ほどある。
なんで私にあんなことをするのかとか昨日会話していた内容は何かとか、
あとーーー
「ねえ夜くん、昨日愛子と会ってた?」
なんで夜くんから愛子と同じ香りがしたのか、とか。
そう素直に聞けば驚いたように私を見つめる夜くん。
聞いてはいけないこと、だったかしら。
「え?会ってないよ、どうして?」
「昨日、愛子と同じ匂いがしたから。会っていたのかと思って」
「…まさか。たまたまつけてた香水が愛子さんと同じとかじゃない?」
「そう?」
「うん」
そう言って貼り付けたような笑顔をする夜くん。
そうよね。同じ香水をつけてることだってあるわよね。
私はあまり考えないようにした。
それからすぐに学校について私たちは自分の席に着く。
少し離れた席にはひーくんがいた。視線があえば、ひらひらと笑顔で手を振ってくれる。
言ってた通り来たのね。よかった、元気になって。
私も笑いながら振り返す。