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夜空は百合の花を狂気的に愛す

第5章 ラベンダー


それから普通に授業を受けてあっという間に昼休みがやってきた。

「ごめん!今日もあたし用事あるから」

パンっと顔の前で両手を合わせて謝る愛子。

もうこれもいつものことだ。

一体愛子ってば、毎回毎回どこに行って何をしてるのかしら。

聞いても教えてくれないから謎だらけだ。

じゃあねと言って出て行こうとする愛子をあ、待ってと止めれば少しイラついたように愛子は何?と振り返った。

「ごめんなさい、聞きたいことあって。愛子いつも香水つけてるじゃない?フルーツの香りの。」

「うん、毎日つけてるよ」

「あれってどこに売っているの?知り合いが同じ香りのつけていたから気になって。」

そう言えば、え?と驚いたように愛子がいった。

「うーん、それはないと思うよ?あたしがつけてるこの香水、実は叔父さんに誕プレで貰ったオーダーメイドの香水なの。あたしが好きなフルーツの匂いを抽出して作ってくれたやつだから同じ匂いのは売ってないと思う」

「え…?」

じゃあ、夜くんから香ったあの匂いは?

勘違い?いや、いつも会っていた愛子の匂いと間違えるわけが無い。

「じゃあ、急いでるからあたしもう行くね!」

「え、ええ。」

颯爽と去っていた愛子の背中を見つめる。

夜くんに聞いた時、なんか怪しいと思ったのよ…

でもなぜ嘘を?

愛子といたならいたってそう言えばいいじゃない。

チラりと夜くんの席に目をやれば、夜くんはいなかった。

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