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☆時計じかけのアンブレラ☆

第15章 花

side M

「ただいま〜」
「おかえりぃい(泣)」
「かず、どうしたの!?」
ツアーの打ち合わせが早く終わって家に帰ると、一足先に帰っていたかずが青ざめた顔でキッチンに立っていた。

「潤くん…、ピーラーで爪切っちゃった…」
「大丈夫!?」
かずの手元を見ると、親指の爪が少しめくれて血が滲んでいた。

かずをリビングの椅子に座らせ、絆創膏を貼る。

「…ありがと」
「珍しいね。器用なかずが…」
「久しぶりに一緒に飯食えるからおかずでも作ろうかと思って…」

かずが…?あの、ゲームのことしか頭にないかずが…(超失礼)?
自然と笑みがこぼれる。

「そうなの?慣れないことするから…(笑)」
「………」

あれ?いつもなら「俺だってね、やるときはやるのよっ」とか返ってくるのに……。

「…かず?」
「…潤くん、あのさ……」
「?」

かずは俯いたまま、ぽつりぽつりと話し始めた。

「よく考えたら……デキちゃったの後悔してないかなって…」

「…かず…」

「……潤くん、まだいろいろやりたいことがあったんじゃないかって。妊娠・出産したらそれも制限されちゃうし。。それに…潤くん、松本さんじゃなくなっちゃうし……」

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