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☆時計じかけのアンブレラ☆

第16章 Be with you

身体は赤くて(赤ちゃんて言われてるぐらいだから)、声はそんなに大きくないんだけど、力強く泣いてる……。


ああ、良かった……。

生まれた……。


その瞬間、今までの陣痛の辛さが嘘みたいに吹き飛んだ(このあと、術後の痛みに苦しむわけだけど(泣))。

助産師さんが身体を拭いた赤ちゃんを連れてきてくれて、かずに抱っこを促す。

「ほら、お母さんですよ〜」
かずがまだぎこちない抱っこをして俺の枕元まで来て、顔を見せてくれた。

言い表しようのない喜びと感動で涙が零れる。


無事に生まれてきてくれてありがとうね。



「ふふっ。ちっちゃいね」
「ほんと。
潤くん……、ありがとう」
「うん」
かずの瞳も涙で潤んでいた。

「かずも……ありがと」
「俺?何もしてないよ?」
「ううん。いてくれるだけですげー心強かった」
「ほんと?」
「うん」
「良かった」
俺の言葉に、かずは嬉しそうににっこり笑った。

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