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俺は捨てられた。

別に本気だったわけじゃない。

俺は男だし、あなたも男だったから。

でも、俺は女はダメだけど、あなたは違ったんだね。

女もイケるんだね。
知らなかった。





「今日で最後にしよう。」

いつものように俺の家で飯食って、酒飲んで。
風呂に入って、ヤって。

「明日は何時に起こせばいいの？」
こう、聞こうとしたらあー言われた。

「え？」

「専務のお嬢さんと上手くいきそうなんだ。
賢いお前ならわかるだろ？」

そう言いながらまだ、裸でベットに横たわる俺の
掛け布団をとった。

「お前は今まで一番、可愛かったよ？」

そして、キスをした。

俺は一言も発することが出来なかった。

上等なスーツに身を包み鏡を見ながら髪型を整え、
テーブルに何かを置いた。
「じゃぁ、また会社でな。」

俺を振り返りもせずに玄関から出ていった。




俺は捨てられた。

別に本気だったわけじゃない。

でも、でも、でも、
始まりから裏道の恋なんだから
真っ直ぐに歩けるなんて思ってなかったけど、

でも、でも、でも、
こんな恋でも、幸せだったのに。
寄り道も回り道も楽しんで歩けると思っていたのに。

テーブルの上には俺があなたにあげた鍵が置いてあった。

この部屋だって、あなたが来やすいように場所を
選んだのに。

明日の朝だって、あなたより早く起きてあなたの好きな朝ごはんを作るつもりで買い物もしてあるのに。

あなたが出ていった玄関に立った。

「おいてくなよ…」

あなたの傘がおきっぱなしだった。

今日だって、降水確率は0パーセントだったじゃん。