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僕は君を連れてゆく

第2章 クレーム対応術


「おい、どうなってんだよ?買ったばっかりなのに全然、使えねぇんだけど?」

「お電話ありがとうございます。私、お客様相談室の松本と申します。」

きたよ…こいつ…毎回、毎回、新製品がでる度にいちゃもんつけてくるんだよな…

「どちらの商品の不具合でしょうか?」

「不具合なんかじゃねぇ!使い物になんねぇよ!高い金だして買ったのにこれじゃぁな!松本さんよ?」

この人はうちの部署では有名なクレーマーで新しい製品が出る度にこーやって、いちゃもんをつけてくるんだ。

だったら、なんで毎回、買うんだよ?と俺はイライラして仕方ない。
元々、この部署に配属されたことすら納得してないんだこっちは。

「…はい、ええ、もちろんでございます。この度は誠に申し訳ありませんでした。失礼いたします。」

相手の電話が切れて約3秒まってから受話器を置いた。

「はぁ~」

お客様相談室というのは、簡単に言えばクレーム対応係のことで毎日、電話口で謝罪を口にし相手にきもちよく電話をきってもらうという何とも疲れる部署なのだ。

ここに配属されて1年。
元々は製品開発部にいたんだけど上司と合わなくて…
こんな役回りは俺の仕事じゃない。
頭下げる仕事なんて…
こんな仕事したくて大学をでたわけじゃない。

「はぁ~」

「お疲れっ!」
後ろから両肩をバンっと叩かれた。

「っ!ビビったぁ~!!!」

「相変わらずビビりだねぇ。」

隣の席には同じ部署の二宮和也。
元々は営業部にいたらしいが取引先の上司とイイ関係になってしまい、それがバレてここへ。
でも、俺と違うのはこの部署でも上手くやっているということ。

こいつ曰く、謝って給料貰えるんだから、楽じゃん‼ということらしい。

「また、クレーマーの松岡さん?」

「そう。あいつ、いつも名指しで俺のとこにくんだもん!」

「気に入られちゃったね?」

「おっさんに気に入られるなんて~」

こいつと話してると俺は楽だった。

適当に仕事してまた、開発部へ戻る。
そうなると思っていた。


あいつが来るまでは…

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