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僕は君を連れてゆく

第16章 ぶりかえす


「二宮さん、検温しますよ~」

そう言われて時計に目をやると午後5時になるところだ。

「熱、測っておいて下さい。」

風邪をこじらせた俺は職場で倒れ近くの病院へ救急車で運ばれたのが3日前。

点滴のお陰なのか、熱は下がった。

しかし、この点滴のせいでめちゃくちゃ、不自由だ。
それに、ご飯が出ない。

あまり、食に興味のない俺だけどさすがに腹がへったよ。

「二宮さん、面会ですよ?」

「へ?」

俺に面会?
どちら様?

「よっ?二宮さん!」

スラックスにワイシャツ姿。

「え!な!あ、相葉さん?」

「ねぇねぇ、面会は何時まで?」

「あっ、20時までです。」

「ありがとね~」

声をかけられたナースは頬を赤らめて返事してる。

「ど、どうし…どうしたんですか?」

あまりに、驚いて噛んでしまった。

「どうって…お見舞いだよ。」
手には鞄と紙袋が。

「ここのプリン美味しいんだって。受付の子に聞いてさ…一緒に食べようと思って。」

「……」

面会に来たこの人、相葉雅紀。
同期で入社したんだけど…

俺の好きな人。

同期だからってライバルになっちゃうとか思ってたんだけど、そんなことなくて、二人で協力して先輩のプロジェクトを手伝ったり、ランチしたり…

今、まさにナースに向けたキラキラ笑顔が
俺のハートに火をつけたんだ。

いつ、どこで見かけてもキラキラ笑顔なんだ。

俺の耳は相葉さんのセンサーがあって。
声なんて当たり前。
歩く音も聞き分けられるし。
この前なんてついに、鞄を開けるファスナーの音まで分かるようになった。

すごくね?

そんな、相葉さんが俺のお見舞いに来てくれた…

嬉しすぎるっ!!!




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