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僕は君を連れてゆく

第16章 ぶりかえす


「せっ、せっかく来てもらってあれなんだけど…」

俺は病院で借りた病衣という浴衣みたいなのを
着ていて…

っていうか、三日も風呂に入ってないし…
臭いかもっ!
いや、臭い!

「ごめん、ごめん。いいよ、寝てて。」

ベットサイドの椅子に腰を下ろした。

近い!
どうしよう。

俺はこの汚い体を相葉さんに向けるのが申し訳なくて布団を被った。

本当なら嬉しくて、嬉しくてたまらないんだから、
起き上がって話をしたいのに。

「どうした?まだ、調子悪い?」

ベット柵に肘をついて、覗きこんできた。

あ~
やっぱり、カッコいい~

じゃなくて!

「いや…そういうわけじゃ…あの、あんまり寄らないでよ…」

「なんで?」

途端にシュンと悲しい顔をした。

あぁ~
そんな顔をさせたいわけじゃないんだ~

「いや、あの…風呂に…」

「風呂?」

「お風呂、入ってないから!臭いよ!俺!」

「アハハハハ!なにそれ?そんなこと気にしてるの?大丈夫だよ!気にしないってそんなの!」

「なに、そんな…笑わなくてもいいだろ!」

「二宮さーん、熱測りました?」

失礼します、とカーテンを開けてナースが検温にきた。

「よかった。熱ないですね。夕食からでますよ!」

「え?ほんと?プリンは食べて平気かな?」

「あ♡はい!大丈夫ですよ!二宮さんのお友だちですか?めちゃくちゃ、カッコいいじゃないですか♡」

なんだ、このブス!
「あ♡」じゃないよ!

「良かったね?二宮さん!」

「うん♡」

って、俺も♡ついてるし!



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