僕は君を連れてゆく
第28章 ハンプ
何かが、クル!
やだ、怖い!
「イケよ!」
俺のを扱く手の動きが早くなった。
ネチャネチャと響く音。
俺の声。
ソイツの荒い息遣い。
出そうと思った瞬間、玄関のドアを叩く音がした。
「かず?俺、お前の数学のノート持ってたんだけどぉ?」
「潤っ!!!」
叫んだら、口を両手で押さえられた。
全身を使って、ソイツの体が俺の上からどくように動かす。
「静かにしろよ!」
「おい!かず?いるんだよな?開けるぞ?」
玄関のドアが開いた。
俺は男に体を押さえつけられて、口を塞がれていて。
そんな状態で潤と目が合った。
潤は、ヒュッと息を吸って俺にまたがる、ソイツに向かって殴りかかった。
「なに、してんだよ!てめぇ!」
大人と子供だ。
敵うはずなんてない。
潤は殴られて吹っ飛ばされた。
潤が畳に転がる。動かない。
「お前の友達か…へー、そうなんだ。」
ニヤリと笑って、俺をまた見て、恐ろしいことを言った。
「あいつでもいいんだぜ?和也がそんなに嫌がるなら…」
「潤に手を出すな!」
それは、ダメだ。
潤は…ダメだ。
「俺がやるから。やめてくれ!」
「そうだよ、最初から、そうしてればいいんだよ。お前は逃げられない。母親と同じように体で借金返すんだよ!」
俺に覆い被さってキスされるんだと分かって目を閉じた。
これが、夢でありますように。
ドンという衝撃がして体が軽くなった。
見たら、潤がソイツに玄関に飾ってあった花の入って花瓶で殴っていた。
「行くぞ!」
潤は俺を起こして体に服を被せて抱き上げた。
そのまま、潤の家に連れてかれた。
潤の家には潤のお母さんがいて物凄い顔で俺達を見た。
そして、俺に風呂に行くように言った。