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僕は君を連れてゆく

第28章 ハンプ

◇あとがき◇


これにて、「ハンプ」終了です。

ハンプとは心不全治療薬です。
え?
そうです、何も関係ありません。

ただ、ハンプって響きがいいなぁといつも思っていたのでタイトルに使ってみました

今回は少し医療者側の気持ちを書いてみました。
やるせなさ、虚しさは医療者は誰でも抱えてると思います。
私も初めて仕事として、患者さんを見送ったのは新人の時。
21才になってすぐだったと思います。

90近い、おばあちゃんでおしりの骨のところに大きな床擦れがあって。
下肢がすごいむくんでて、食事が、食べれなくなっていたから栄養が足りなくてむくんでたんだろうね。
でもね、ニコニコしてるの。
少しなら口から食べれるからってお昼だけご飯出してて…
ある日、他の患者さんに出されたバナナを見て食べたい!って言ったの。
そんなこと今までなくて。
驚いたけど先生に確認したら、誤嚥(ごえん)させないように気を付ければいいよって。
フォークで潰してあげたんだ。
そうしたら、涙流してありがとうって言ってくれたの。
それで、その次の日に亡くなったんだよね。

名前も顔も覚えてる。最後に笑って泣いてくれた顔も。

もっと、出来ることがあったなとか、食べたいものあったんだろうなとか、色んな事を考えました。

うん。

しんみりしちゃうね。

誰かのために何かをしてあげたい、必要とされたいって人として、普通な感覚だと思います。
それぞれその人にしか出来ないことがあって、
その人によって必要な人、支えたい人って違っていて。

それがなんなのか、自分で気がつく人もいれば、誰かによって気づかされることもある。

それでいいと私は思う。

かずも潤も遠回りしたけどきっと、これからは
手を取り合って仲良くしてくれると思います。

長々と失礼しました!

それでわ、また( ・∀・)


2017.12.10 sun

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