テキストサイズ

僕は君を連れてゆく

第35章 空の色


「そんなの、イチイチめんどくせぇよ。」

俺は、口うるさい方らしい。

「でも、決まりだから…」

大野さんはめんどくさがり屋らしい。

「じゃぁ、ニノやれよ~。こういうのはがすの俺、苦手だもん!」

だもん!って…

「…わかった!俺がやればいいんでしょ!」

大野さんから空っぽになったペットボトルを奪いとった。

「おっ!じゃぁ頼むな!」

おっ!
じゃないよ!

頼むな!
じゃないよ!

俺は怒ってるんですけどっ!!!

「俺はコーヒー淹れるから!な?」

「お砂糖もミルクもいらないからっ!」

な?
じゃないよ!

もう…

奪いとったペットボトルのラベルをはがす。
はがしたラベルは燃えるごみ。
ペットボトルはゆすいで乾かしたら、資源ごみ。

大野さんはこのラベルをはがすのが苦手。
それは見ててわかる。
キレイにはがせないで洗って立てかけてあることがたびたびある。

大野さんと暮らすようになって3ヶ月。

この人は大雑把だ。

靴下も脱いだら裏返しのままかごにいれる。

食器も食べたらそのままシンクに置く。

読んだ漫画も戻すときに空いてる隙間に戻す。

俺は

靴下を脱ぐときに裏返しにならないように脱ぐ。

食器は油ものとそうでないものにわけて重ねて水に浸ける。

漫画も元にあった場所に戻す。

だってそうしないと洗濯物を畳む時にいちいち裏返さないといけないし、食器洗うときもベタベタして余計に洗剤を使うことになるし、漫画も1巻から順番に並べてるんだからそこに返すのが当たり前じゃん!

だけど、大野さんは

畳む時に戻せばいいんだから、それでいいよ。
食器だって、俺が洗うからいいよ。
漫画も次読むときどこかな?って、探すのも面白いぜ!って。

俺が口うるさいの?

こんなこと気にする俺が細かいの?


「ニノ、コーヒー淹れたぞ!」

「はーい!」

コーヒーのいい香りが部屋に広がっていて。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ