
僕は君を連れてゆく
第37章 背中合わせ
俺と交代で潤がお風呂に入った。
火照った体。
早く、冷まして欲しい。
寝室のベッドに腰掛け潤が出てくるを待つ。
バタンと風呂から出てくる音がした。
「初夜かよっ…」
こんなにドキドキしてる。
俺の、期待しちゃってるんだけど…
………
………
ん?
ペタペタと足音は寝室を通り過ぎた。
え?
ガチャリとドアの開く音。
きっと、潤の書斎。
嘘だろっ!
こんなにして放置されんの?
俺は飛び起きて潤の書斎をノックした。
返事も待たず、そおっとドアを開けた。
「潤?」
潤は机に向かいパソコンを立ち上げていた。
「あれ?起きてたの?」
「うん…寝ないの?」
上半身裸で背骨を汗が伝っている。
首にひっかけたタオルで頭をガシガシ拭く潤の右腕の上腕二頭筋。
白いその肌はスーツを着てる姿から想像できないほど、筋肉質なんだ。
その背中に触れる。
「ね…今日…」
「悪いけど、明日までにまとめなきゃならないから…」
触れた途端、俺から三歩下がった。
「…っつ…そ、なんだ…」
「うぅ……う……」
ベッドに逃げるように帰ってきて。
布団を被った。
拒否された。
一人でドキドキして、俺、バカみたい。
涙がどんどん溢れてくる。
潤、俺のことどう思ってるの?
何も感じないの?
最後にしたの、覚えてる?
俺、もう、思い出せない。
もう、
思い出したくない。
もう、
期待なんてしない。
気がつけば
また、朝がきた。
