僕は君を連れてゆく
第40章 沼
それから、
俺たちは受験勉強に励んだ。
と、いうのは半分、本当で。
半分は嘘だ。
家に誰もいないときは大野の家でも、俺の家でも
そんな雰囲気になってしまって…
大野はなんだかんだで、俺を“松本くん”と呼ぶ。
ヤってる時にたまに“潤”って呼ばれて、キュンとくるのは内緒だ。
今日もテストの見直しを終えた俺は、大野のソレを口に招いていた。
「松本くん…じょ、ず…あぁ…」
立ってる大野の前に膝まづき、大野のソレを咥える。
俺を見下ろす大野の顔がたまらなくカッコいい。
と、思っているのも内緒だ。
行為を終えたら、俺の体を拭いてくれる。
そして、
「松本くん、今日もすごい気持ち良かった…」
と、汗だくな俺の顔にキスをしてくる。
「わかったって!あちぃんだからあっち行けよ!」
「ウフフ。汗かいたね。何か飲む?」
パンツをはいて大野は一階に降りていった。
こいつは年がら年中俺を好きだ、と言う。
大野の部屋の机には俺と二人で写ってる写真が飾られていて。
こんなの誰かに見られたら、どーすんだよって怒鳴ったら、「どーもしないよ。だって、この松本くん、すごく可愛いから」って。
こっちが恥ずかしくなるようなことを平気で言う。
「はい、麦茶。」
氷の入ったコップになみなみと麦茶が入っている。
「あー、うまい。ん?」
俺をジっ~と見てくるから。
「この喉仏がゴクリって動くところがまた、色っぽいんだよね…」
あぁ…
この目…
大野の指は俺の裸のままの肩をなぞる。
「松本くん、好きだよ…」
やめろ。
「そんな顔で見ないでよ…」
どんな顔だよ。
「ね?もう一回いい?」
俺が持ってるコップを奪い、机に置いて。
「来いよ!」
大野の腕をひいた。
あの日からずっと、俺は抜け出せない。
それどころか、どんどん、深く、深くハマっていく。
最初にハマったのはお前。
「大野…」
今は俺が…
おわり