僕は君を連れてゆく
第44章 みんな、知ってた
「おーのさぁん、邪魔!」
「あんだよっ!ニノがどけよっ! 」
「やら…今、いいとこ…」
「あにしてんだよ?あん?見して!」
「ちょ、やだ!なんっ!もぉ!」
「うりゃ、うりゃ~」
触れそうで触れない肩。
届きそうで届かない背中。
なんてことはなく、あと数センチ、顔を近づければ
その唇を塞ぐことができる距離にいる。
わざとなのか?
俺は試されているのか?
この気持ちに気がついてから俺は毎日、毎日、
ここが、胸が、ギュウっとなる日々を過ごしてる。
「もう、ほんとっに邪魔!相葉さん、コーヒー淹れて!」
「なんで、俺に言うんだよ!自分でやれよ。」
「おじさんがこしょこしょしてきて笑いすぎてHP使い果たしたの!」
俺の隣から抜け出したニノは俺がこしょこしょしたせいで、髪もボサボサ服もヨレヨレだ。
髪を直してんだが、さらにボサボサにさせてんだかわかんないけど髪をガシガシと撫で付けてる。
こしょこしょしてるときに泣き笑いになるから
目尻に溜まった涙を人差し指でこする。
その、どの、しぐさに、俺は恋してる。
ニノ。
こんなこと言うのはあれかな。
何言ってんのよって笑うかな。
20年、嵐でいたんだ。
もっと、欲張りになってもいいかな。
ニノ。
ニノ。
ニノ。
「見すぎ。」
「んぁ?」
険しい顔で俺に声をかけてきたのは松潤。
「見てねぇし…」
「バレバレ…」
「…」
「黙っちゃだめでしょ。否定するなら最後まで否定しなさいよ。」
「ニノなんて見てねぇし…」
「…」
「…」ニヤリと松潤が笑った…気がする…
「最近、熱いですよ。あなたの視線は…」
「そんな?」
「そんな。」
なんで、松潤が気がつくのにニノには届かないんだろう。
相葉ちゃんとイチャこらしながらコーヒーメーカーの前にいるニノの背中を見つめる。
「ほら、その目。あっつい!」