僕は君を連れてゆく
第44章 みんな、知ってた
背中にビンビン感じる視線。
それが誰のものか振り返らなくても分かる。
やる気を感じさせない男。
やる気を見せない男。
それがうちのリーダーだ。
そして、俺のとなりでお腹をボリボリ掻くのは
ニノちゃんだ。
「あー、もう、今日はダメ。笑いすぎてお腹痛い。なんか、食べさせて。」
「そういうのは俺じゃなくてリーダーに言えよ。」
「やだ、あのおじさんラーメンばっかりなんだもん…」
なにが、“なんだもん”だっ。
「肉食わしてって言えばいいじゃん…」
「…」
「俺が言ってやろうか?」
「いい…」
「なんで?この間、リーダーと飯行ったんだろ?」
「…」
「俺、変なこと言った?」
「うるさい!」
悪かった機嫌はさらに悪くなって、ペタペタとサンダルを鳴らして結局リーダーの隣にまた座った。
なんなんだ。
ほんとに。
なんで、不機嫌なんだよ。
テレビで自分が言ったんじゃん。
リーダーとのこととなると途端に気性の波が荒くなる。
いい加減、認めたらいいんだ。
そんなに悪いもんじゃないと俺は思うんだけど。
何をそんなに躊躇ってんだろう。
戻ってきたニノちゃんを見上げて笑みをこぼすリーダー。
これになんの疑いがあるんだろう。
リーダーもリーダーだよ。
やっと、ご飯に誘ったと思ったのに…
次は?その次は?どうすんだい?
もう、とっとと、くっついちゃってよ。
あの、天の邪鬼の相手は疲れるんだからね。
「おじさん、もっとそっちいって。」
「おん?なんだと?またこしょばるぞ!」
はぁ…
テレビだろうと、楽屋だろうと、移動中であろうと
こんだけイチャこらしてんのに。
大人になるとそういうもんなのかね。