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僕は君を連れてゆく

第46章 助手席

「ほら、乗れって」

松潤が車の助手席のドアを開けて俺に乗るように
急かす。

「なんで?まだ、良くない?」

大学のテストが終わりその、打ち上げがあった。

「もう、いいだろ、帰るんだよ」

バタンとドアを閉め、外にいるみんなに挨拶までしてる。お前は俺の母ちゃんだっけ?
いつもそう。松潤とは同じ大学だけど学部は違う。けど最近、俺が飲み会とか帰りが遅くなる日は迎えに来てくれるんだ。

松潤の車のなかはいつもいい匂いがする。

なんでだろ…

松潤が運転席に戻って車は出発する。

「だすぞ~」

「は~い…あっ、待って!」


車を発進しようとして、反対側の歩道に目をやったら
みたことのある背中。

「いいだろ!行くぞっ」

「やだ、待って!ね、あれって…」


みたことのある背中はふたつあって。

どこからどう見ても、ふたつあって。

背の高い男と背の低い男。

「あれってニノ先輩だよね?」

「違うんじゃん?よく見えね」

「嘘だよ!隣は相葉ちゃん…」

「気のせいだろ、行くぞ…」


二人は肩を寄せあい歩いてて…

背の高い方があたりをキョロキョロして、

背の低い方が、背の高い方の頬にキスをした。


「あっ!!!」

「………」


立ち止まり、回りなんて気にもとめず、抱き寄せて。

絡まるように歩いていく。


「………」

「…行くぞ…」

車がゆっくり発進した。

本当は二人が歩いていく方向に向かうはずなんだけど、ウインカーはその反対側を知らせて。

松潤を見たら

「ちょっと、寄り道な」

「………」


それが、松潤の優しさって俺はすぐにわかった。

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