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僕は君を連れてゆく

第48章 ゆく年くる年

舞台袖からステージの中央にいる翔ちゃんを見る。

「楽しそうだなぁ」

「うん」

相葉さんがウフフと笑ってる。

おととしは相葉さんがあそこにいた。

大量の資料と毎日、にらめっこしてたのを思い出す。

「なに笑ってんの?」

どうやら、顔にでていたらしい。

「いやね、あなたもあそこにいたじゃない?」

「そんなこと言ったら、君もいたじゃない?」

そう。

俺は去年、あそこにいたんだ。

「惜しかったよな…」

「いや、大敗でしたよ?」

「いやいや、あれは勝ったと思うでしょ?」

このやり取りも、もう何回もやってる。

「優勝旗、重たいのよ?」

「持ちたかったな~」

「あなたにはまだ早いのよ」

「そうなの?何が足りなかったかなぁ~」

「あっ!気づいた!」

「「おぉーい!!」」

ぺちゃくちゃ、おしゃべりしていたら、翔ちゃんが我々に気がついて大きく手を振ってくれた。

翔ちゃんの隣にいる内村さん、その隣にいるすずちゃんも手を振ってくれる。

「みんな、振ってくれる!」

相葉さんが調子に乗って両手で手を振りだしたら、左の肘が俺の右腕にヒットした。

「いってぇ!!!」

「わぁ~!ごめん!にの!大丈夫?」

周りが俺たちの声にざわざわし出した。

「平気!大丈夫だから!」

「ごめんね?ちょっと、楽屋戻ろ?ね?」

楽屋に戻ったからって手当てが出来るわけじゃないし…

「いや、平気だって…え?」

俺は相葉さんに抱えられるようにその場から離れた。


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