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僕は君を連れてゆく

第50章 こんなにも

「翔…ぁあ、ん」

「智、顔見せて?」

汗で張り付く前髪を撫でつけ
おでこにキスをする。

智の中はとても熱くて。
離れたくない、離さないと言われてるようで。

「翔くん…」

「智…好きだよ」

智の中に熱を放った。


智に抱かれること、智を抱くこと、
どちらも、幸せで。

こんな関係、不毛だと父は言うかもしれない。

だけど、俺の幸せは俺が決める。

俺の幸せは智の幸せで
智の幸せな俺の幸せなんだ。

遠回りをしたけれど、やっと辿りついた。



錦戸さんが関西で旅立ち、あと2ヶ月働く予定だった潤は有給を存分に使い後を追った。

潤との部屋は快適だったけど、俺たちも新しく家を借りた。

リビングには大きなソファー。
寝室には大きなベッド。

各々、部屋もある。

「あれ?なに入ってるの?」

智の荷物は本当に少なくて。
俺の荷物を出すのを手伝ってくれてる。

「これは…」

「あ!これ!」

智はその中身が何かわかると顔を綻ばせ、開けて、
とせがんだ。

「懐かしい…、あ!これ俺が描いた絵…」

「智と別れてさ、捨てようと思ったんだけど…出来なかった」

少し眉毛を下げた智はさらに段ボールに手を突っ込む。

「これ…」

俺が書いた小説だ。

「あの時、書き上げたやつだよ」

「また、読んでもいい?」

「うん」

「タイトル、決まってないの?」

「決まってなかったけど、決めた。
smile again」

また、智の笑顔を見ることができた。

今日も明日これからも。

smile again



fin.

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