僕は君を連れてゆく
第54章 ただひとつの答え
「へぇ、18?犯罪じゃん!」
「高校はでてるから、ギリ大丈夫なんじゃん?」
「にしても…翔ちゃんが?」
「どうしちゃったの?」
仕事帰りにいつもの居酒屋で酒を酌み交わす。
メンバーもいつも同じ。
「どうしちゃったの?って…どーいう意味だよ」
「まんまだよ、まんま!」
「顔がタイプか?」
「体じゃなくて?」
「まだ、手は出してません!!」
「まだ、ってことはいずれは…」
「翔ちゃんってロリコンだったんだ~」
「違うって!!」
ダンっとテーブルを叩いた。
「こぼれた…」
「すいませーん、おしぼりください」
雅紀と智くんがせっせっとこぼれたビールを拭いている。
こぼれてテーブルに広がる黄金の液体。
「ほら、翔ちゃんも拭いてよ」
「翔ちゃん、手濡れてるよ?」
綺麗なおしぼりを渡された。
みんな、いい奴だ。
「翔ちゃん、電話なってる」
「あ、…」
「誰?」
「っるせっ!」
通話ボタンを押してみんなに背を向けた。
「もしもし?え?鍵?」
雅紀と智くんはメニューを開いて覗いてる。
「わかったよ、帰るから」
「もう帰っちゃうの?」
「う~ん、」
俺ももう少し飲みたい。
けど、帰らないと。
「なんだかんだで、甘いんだから」
「智くん、何か言った?」
「いいや、ほら!帰れよ!待ってんだろ?」
「雅紀のとこのはどーなんだよ?」
「うち?うちはもう…」
「ここはしっかり首輪つけてるよな?」
「首輪っ?!」
「まぁね、俺にぞっこんだからね」
ニヤニヤと厭らしい笑みを見せる雅紀の顔。
「かずなりくん、可愛いよね」
「おーちゃんもそう思う?」
ビールの入るグラスを傾けながら喋る二人。
……ん?
……かずなりくん?
「え?男?」
「うん、そうだよ」
……へぇ~
……え?!
「ヤってんの?」
「プライベートなんで!」
と、口の前に×を作って見せた。
「俺もかわいこちゃん、欲しいなぁ~」